月刊『日本橋』 2016年10月号 No.450

江戸時代、一流料亭として名を馳せた〈八百膳〉〈平清〉〈嶋村〉に、引けをとらない料亭があった——多くの文人墨客から大名に至るまで通い賑わった、日本橋浮世小路の百川だ。幕府から、ペリー一行の饗応をまかされるまでに至った名店が、なぜ明治に入りこつ然と姿を消したのか——。この秋、百川を舞台にした小説を出版する小泉武夫氏のインタビューを軸に、百川の歴史を紐解いてゆきたい。繰り広げられる粋な世界、驚くほど贅沢な料理が並ぶ百川の世界へ、いざ——。

●特集はまだまだ続きます。ぜひ本誌を手に取ってご覧ください!

【今月の表紙】

古根 本朝名女百傳 河田村老女 大判

天保14年(1843) 川口版

【10月号連載】人物語 第271回 中嶋宏太郎さん

江戸は日本橋、駿河丁越後屋呉服店前で夕七つが、若旦那との約束——この秋、三越劇場で公演される、井上ひさしの秀作『たいこどんどん』の冒頭の台詞だ。日本橋から始まる抱腹絶倒なストーリー、膨大な台詞の量、総勢16名の役者が演じる95人の登場人物が舞台を駆け巡る。「中村梅雀さんが主役を務め時に僕も出演していたんですけど、もう劇場が揺れるほど、笑いがドカーンドカーンと起きるような芝居なんです」と、今回主役の桃八を演じる前進座の中嶋宏太郎。創立85周年を迎えた前進座の記念公演にあたる今公演を成功に導くため、分厚い台本を手に稽古に励む。

(続きは本誌でお楽しみください!)

【10月号連載】美国屋 うな重(中)

土用の丑の日も終わったことだし、うなぎを次に食べるのは先になりそう……なんて思っている人も多い秋、美国屋の店先では連日のように客が列をなしている。目当ては漆塗りの重箱にぎゅっと詰まった別世界。厳選されたササニシキとコシヒカリをブレンドして炊き上げたホクホクのご飯に乗るのは、職人が丁寧に焼き上げ、タレの見事な照りを放つふっくらとしたうなぎ。その美しい姿をしばし眺めて楽しんだ後、冷めないうちにと一口急ぎほおばる。……(続きは本誌で!)

【10月号連載】シンボーの日々是好日 第200回 南伸坊

オリンピックが終わった。

四年前、どんなカンジだったか、よく覚えていないけど、今回のオリンピックは収穫があったのでそのことを書きます。

おじいさんになって、早起きは全然苦にならないので、4時とか5時に起きてきて、いきなりTVの前に座っていた。そのかわり、夜はすぐ眠くなるから10時すぎるとお風呂に入って寝てしまう。

テレビが、なこと言ってるよとツマが言うので、ひげ剃りの体勢のまま居間に来た。事件らしい。

テレビの画面に

「拳銃男、自宅にたてこもり」

みたいなことが書いてある。

 

……(続きは本誌で!)