月刊『日本橋』2015年5月号 No.433 

5月特集 日本橋で諸国巡り

五月晴れの行楽日和。日本橋のアンテナショップを巡って諸国の味・技を味わい尽くそう。江戸の昔も現在も、旅のはじまりは日本橋から! 

■にほんばし島根館
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室町1-5-3福島ビル1F
電話/5201-3310
10時30分〜19時 年末年始休

〜山陰の海の幸〜
 日本橋界隈で初のアンテナショップとして平成15年にオープンした、にほんばし島根館。「出雲大社があり伝統を重んじる島根の土地柄は日本橋と相性がよく、この地にオープンすることになったそうです」と話すのは、館長の朝田正道さん。
 売場面積180㎡と広々とした島根館には、食品1400アイテム、工芸品などは700アイテムがびっしりと並ぶ。なかでも目につくのは、日本海の幸。錦織圭効果で人気が急上昇した〝のどぐろ〟はじめ、島根では〝連呼鯛(れんこだい)〟と呼ばれる黄鯛の干物などが冷凍で販売されている。また、宍道湖産の大和シジミは冷凍や生でも販売されているが、砂抜きされ手軽に調理できる真空パックの品揃えが豊富。「近年、県別のシジミ漁獲量のトップを青森県の十三湖に奪われていたのですが、地元紙によると2014年は、4年ぶりに宍道湖がトップに返り咲いたそうです」と朝田館長。しじみの真空パックには白濁した水分が溜まっているが、これはシジミのエキスなので、調理の際は一緒に鍋に入れてほしい。
 「島根の家庭でよく食べるのは〈板わかめ〉……(続きは本誌で!)

 

■奈良まほろば館
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室町1‐6‐2
電話/3516‐3931
10時30分〜19時 年末年始休

〜神話の時代から〝いいところ”〜
 以前は、代官山に県職員の施設と併設して店舗を構えていた奈良のアンテナショップ。より幅広い世代に向けて情報発信をしたいと、平城遷都1300年の前年にあたる平成21年に三越前に移転、奈良まほろば館が開館した。朱色の門構えが目を引く外観、入口にいる奈良県マスコットキャラクター〈せんとくん〉による誘いの効果か、2年前には来館者が100万人を突破。いつの間にか中央通りになくてはならない存在になった彼。最近は、露出度の高い装束ではなく官服衣装を着ていることが多い(冬物?)。
 館名の〈まほろば〉とは〝素晴らしい場所”という意味の日本の古語。「『古事記』によるとは伊吹山で傷を負い、という場所(三重県の亀山市付近)で死を迎えたとされます。亡くなる前、倭健命は帰れない故郷への思いをこめ、〈は国のまほろば たたなづく れる 倭しし〉(大和は国の中でも最もよいところ。重なり合った青い垣根の山、その中にこもっている大和は美しい)という歌を詠みました。奈良の人々にとって〝まほろば〟は、故郷を誇りに思える言葉なんです」と、奈良県東京事務所の大西貴之さん……(続きは本誌で!)

 

■三重テラス
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室町2-4-1浮世小路千疋屋ビル YUITO ANNEX1・2F
電話/5542-1033
10時〜20時 年末年始休

〜日本橋と縁の深い三重県〜
 伊勢神宮が式年遷宮を迎えた2013年にオープンした三重テラス。三重県と日本橋は、江戸時代に江戸っ子たちが日本橋を起点に伊勢参りにでかけたり、三井越後屋や小津和紙をはじめとした伊勢・松阪商人が日本橋で成功したりと、繋がりの深い地域だ。

〜三重の伝統工芸品〜
 1階のショップやレストランの内装には、平安時代より伝わる鈴鹿墨で染めた暖簾、伊勢型紙の照明、伊勢木綿のカーテンなど、三重の伝統工芸品がスタイリッシュにデザインされ配されている。
 ショップの商品にも、尾鷲ひのきのフォトフレームや亀山ろうそくなど工芸品が並ぶ。「特に人気なのは、陶器さんの萬古焼・菊花ごはん鍋です。この土鍋で焚いたご飯を食べると、炊飯器のご飯が食べられなくなりますよ」と店長の緒方充洋さん。萬古焼は、江戸時代中期からはじまり、現在、四日市と菰野町で盛んに造られる耐熱性に優れた陶器。菊花ごはん鍋は米を焚いたら、そのままお櫃として冷蔵庫で保存OK。さらにそのまま電子レンジ過熱もOKと、デザイン性と機能性を兼ね揃えた土鍋だ。

〜松阪牛と牡蠣〜
 三重のグルメといえば、やはり松阪牛。三重テラスでは、津市・朝日屋のローストビーフを置いている。「朝日屋は地元でとっても有名な松阪肉専門店……(続きは本誌で!)

 


■まだまだたくさん、日本橋のアンテナショップ!

本誌を手に取って、各館の情報チェックを!
アンテナショップ・マップ

・日本橋ふくしま館MIDETTE(ミデッテ)
・ブリッジにいがた
・おいでませ山口館
・富士の国やまなし館
・京都館
・北海道フーディスト
・〜新形態のアンテナショップ〜
埼玉県アンテナショップ日本橋店

〈今月の表紙〉一勇斎国芳 鬼若力之助 大判 嘉永三年(1850)

【5月号連載】逸品 板倉屋 人形焼

 人形町は甘酒横丁の交差点近く、甘い香りに誘われて足を向けると、そこには明治40年(1907)創業の老舗・板倉屋。表通りに面した店はガラスケースの中に郷土人形が飾られ、どこか懐かしい雰囲気が漂う。人形町発祥のお菓子といえば、そう、人形焼。その名付け親は、板倉屋の初代・藤井貞三さんだ。明治中期、人形町の名物を模索していた初代は、焼菓子職人の吉本民生さんと共に、大阪の焼菓子“釣鐘まんじゅう”を基に町名の由来でもある人形を模したお菓子を作り上げ、後に人形焼と命名。以来、東京銘菓として広く親しまれている。
餡がたっぷり詰まった七福神様の顔は愛嬌があって福々しく、じっと顔を見つめたら、ぱくっと一口。ふんわりとした生地となめらかなこし餡が口に広がり、思わず笑顔。ほどよい甘さの餡につい、もう一つ……と手が伸びてしまう。布袋尊、弁財天、恵比寿、毘沙門、大黒天、寿老人と六神しかいないのは“お客さんの笑顔を足して七福神”だからなのだそう……(続きは本誌で!)

【板倉屋】
人形町2-4-2
電話3667-4818
9時から売り切れ次第終了 日祝休
《写真》人形焼 1個100円(税込)

【5月号連載】人物語254 青島広志さん

目の前の人に喜んでもらえる音楽を―

日本橋三越本店の中央ホール二階バルコニーにある米国製のパイプオルガンは、日本で唯一現存する演奏可能な昭和初期製造のシアターオルガンだ。毎週金・土・日曜に1日3回(10時・12時・15時)生演奏を聴くことができるが、月に一度、音楽家・青島広志さんの演奏と軽妙なトークが楽しめる〈ブルーアイランド氏のおしゃべりパイプオルガン〉も開催され、多くの人が足を止め、美しい音色に聴き入っている。さらに“パイプオルガンはお客様に背を向けて演奏するので心苦しい”という青島さんの思いから、テノール歌手の小野勉さんの歌も聴けるという贅沢な機会だ。この演奏会、思わぬ出会いをきっかけに始まった。「私の父は、新橋演舞場を定年退職後、呉服橋三越劇場の支配人を務めていたのですが、6〜7年前のある日、イベントの仕事で三越に行くと、父に世話になったという部下の方からお声をかけられて、こうした運びに——」と、日本橋との意外な縁を教えてくれた。