月刊『日本橋』2013年12月号 No.416

特集■忘年会特集

■読み物
どうなってるの? 江戸のこと日本橋のこと213/M・シェレンバウム
シンボーの日々是好日166/南伸坊
江戸平成川柳歳事記《暖房》/松本充代
粋人有情《素晴らしき日本!》/ジェフ・バーグランド
今一度逢い度候(九十三)伊原旭涛/岩満重孝
其角堂コレクション《劫火におどる刺子装束伊達姿》
日本橋食べもの歌留多(9)向笠千恵子
気ままなスケッチ/小川幸治
江戸っ子亜土ちゃんの日本橋ブギヴギ(7)

■ルポ
明治の日本橋区 今月の事件簿《十二月の巻》/林丈二

■人とお店
常連さん〈十四郎〉
新お徒歩日本橋繁盛記(132)/一色九月
逸品《鳥忠》
人物語237《八重さん》

■インフォメーション
第25回野菜くだものツアー
豊年萬福塾
誌上いちば
お江戸日本橋マップ
三越・髙島屋
12月のGALLERY&THEATER
かわらばん
日本橋らいんあっぷ
江戸東京野菜プロジェクト

■エトセトラ
今月のプレゼント
12月の西洋占星術/ルネ・ヴァン・ダール・研究所
旧暦ごよみ/暦ことば
こちら編集部・おたより
今月の表紙/悳俊彦・目次

●今月の広告
ロイヤルパークホテル
学書院
【日本橋老舗さんぽ】
[木屋、にんべん、魚久、山本山、黒江屋]
人陽鍼灸リバース
日本ばし七福神めぐり
山本海苔店

表紙の浮世絵
一勇斎国芳「毛谷村六助」大判
天保十〜十三年(1839〜42)頃 蔦屋吉蔵版

連載
日本橋食べもの歌留多
第九回

向笠千恵子

『隅田川風物図巻』という楽しい絵巻物がある。これは両国の江戸東京博物館が所蔵している絵巻物で、日本橋界隈から隅田川上流までの川沿いの名所を描いた大作である。日本橋好きは見逃せない。大きさは幅二十八センチ、長さは約十メートルもあって、作者は未詳、十八世紀中頃に制作されたとのことだ。
絵巻のスタートは一石橋で、彼方には江戸城と富士山がどっしりとおさまっている。絵はそのまま左に展開していき、日本橋川を下って「日本橋」、江戸橋、湊橋、豊海橋を経て隅田川に出る。ここまでで長さ二メートル近くに及ぶから、当然、両岸の風物や人々の往来ぶりもくわしく描かれている。
そこまでは普通といえば普通の絵巻物なのだが、すばらしいのは、この絵巻が「影からくり絵」になっていること。絵巻の図柄の一部を切り抜いて、その部分に薄紙を貼ってあるのだ。だから、裏側から光を当てると、そこだけ明るく輝く。
わたしが以前……(つづきは本誌で!)

江戸っ子亜土ちゃんの日本橋ブギヴギ 7

水森亜土

♪どっちでもいいこと

私は今、東京都武蔵野市というところに住んでいます。
東京都民の生命を守る「お水」の玉川上水の清流は、自宅から歩いて4〜5分てところを毎日流れています。なんてったって都民の飲み水なんですから、清流です。ツリはできません。なにしろ都民の飲み水なんですから。メメズなんぞをエサにして釣りでもしようものなら、たちどころに「御用! ゴヨオダッ!」とばかりにおまわりさんにとっつかまり、たちどころにムショ入りです! と、子どもの頃から両親や、学校の先生から言われ続けて育った土地ッ子たちは、夏休みになっても、決して玉川上水では泳ぎません。泳ぐ時は、必ず下級生の子分を上流の土手の両側の、スクスクノビノビと育った小学校の2〜3年生より背の高いススキの葉っぱの中に隠れさせ、お巡りさんや、余計なお世話や、お説教の好きな小父さん小母さんたちから守るための奇声というか、悲鳴を叫ばせて、子どもながらにもそれは上手に大人たちの目線の中から、マンマと消え失せたそうです……(つづきは本誌で!)

人物語 237

芳町芸者 八重さん

憧れの花柳界で10年——

「ある時、お師匠さんのお囃子の会で芸者衆が披露する“吉兆手打式”に、私も混ぜていただけることになったのです」。“吉兆手打式”とは、東京にある六つの花街のなかで最も伝統ある芳町花街の由緒やこの街の四季の風物がおりこまれ、かつて明治座で行われていた〝葭町をどり 紅会〟で華やかに踊られていた。「とはいえ、お囃子ではなく踊りでの参加。それまで踊りを習うと芸者さんになりたい気持ちが押さえきれなくなるのでは、とあえて習っていませんでしたし……(続きは本誌で!)