月刊『日本橋』 2017年3月号 No.455

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90周年を迎えた今なお、演劇から舞踏まで多くの芸術文化を発信する三越劇場。色あせない品格と色調――その裏には、関東大震災、東京大空襲と二度の苦境を乗り越え、希望の証として存在し続けてきた歴史があった。

●特集はまだまだ続きます。ぜひ本誌を手に取ってご覧ください!

【今月の表紙】 春の人気和意 大判三枚続きの内右 安政2年(1855)山口屋藤兵衛版

【3月号連載】人物語 第276回 中山善光さん

 

 

 

 昭和も終わりに近づいた1985年、ひとりの少年が船と出会った。まちの生活が垣間見える川を走る、70人乗りの平たくて長い江東区水上バスの遊覧船。親から借りたフルオートのコンパクトカメラを手に、ひらすら写真に焼き付けたころから時が経ち、そして今——。少年は株式会社東京湾クルージング統括船長・中山善光として、五街道の起点・日本橋で舵をとる。
1979年に両国で生まれ、はじまってすぐの江東区の水上バスに出会ったのは小学校一年生。中学生になるとほとんど毎週末通った。高校に入ると、同級生を誘って船に乗り深川を散歩したり、船上でクラス会をしたりと、自分だけで楽しんでいたものを人と共有するようになっていった。(続きは本誌でお楽しみください!)

【3月号連載】人形工房 ふらここ

 

女の子の健やかなる成長と幸せを願い、雛人形は平安時代から桃の節句になると大切に飾り祀られてきた。人形工房ふらここの雛人形は、まさに子供を守るお守りのような存在。上質のの殻を細かく砕いた仕上げの白い肌、絹糸を丁寧に結い上げた髪の毛は艶々しく輝いている。京都の絹織物の名門・で織られた着物は見ているだけで心が浮き立つなんとも春らしい華やかな彩り。研鑽された職人技と、子を想う親の気持ちに寄り添い作り上げた職人の心が、手のひらサイズの人形にぎゅっと詰め込まれている。……(続きは本誌で!)

【3月号連載】シンボーの日々是好日 第205回 南伸坊

オトナなんだけど、たとえば友達のお見舞いで出かけた病院で、休憩室のベンチとかに座っていると、壁際に車椅子が何台か所在なげに置いてあったりした場合、私はそれに、

「乗ってみたいほうだ」

実際に乗ってみたこともある。手で脇のワッカを回してみて、ちょっとそこらをぐるんと回ったり、方向転換してみたりした。わりと簡単。

「あれ? ま、まずいすか?」

ってなって早々にやめて元にもどしたような気がする。誰かにとがめられたんだろうか? よく覚えていない。忘れてしまいたい思い出だったかもしれない。

同じようなカンジで、TVのCMでやってる、フランスベッドというベッドが、電動で勝手に上下したり寝たまんまで、座ってる形になったりするヤツ。

あれは、ちょっと使ってみたい。ような気がしていたものだった。まさか、実用で使うことになるとは思ってなかった。

……(続きは本誌で!)